決断できるという強み

―決断すれば人生は変わる

決断という行為は、あなたが思っている以上に強く脳内に影響を与える。

私たち人間の脳内には「RAS(網様体賦活系:もうようたいふかつけい)」と呼ばれる、自分が興味・関心を持った情報と生死に関わる情報以外を綺麗さっぱり排除するという機能が生まれつき搭載されている。

例えば、あなたにはこんな経験がないだろうか?

自分が新しいスマートフォンを買おうと決意した瞬間に、同じタイプのスマホを使う人やその広告ばかりが目についたり、好意を持ち始めた異性が今どこに居るのかばかりを意識してしまうといったようなことが。

実は、これがRASの機能が起こす現象なのだ。

このRASは中脳から脳全体に張り巡らせた脳の情報ネットワークシステムであり、一度あなたが目標を明確に定め、強くその目標を達成しようと決意することによって、この脳内にある神経系は磁石のように、目標を達成するために必要となる情報や機会を引き寄せるようになる。

だからこそ、あなたが日々の目標やその目的を明確に定め、このRASに自分の人生にとって何が重要なのかを教えてあげなければならない。

そうはいっても、なかなか決断するまでに時間がかかるといった声も多く聞こえてくる。実際、私自身も今まで多くのクライアントを支援してきた中で、「何をして良いのかが分からない」「決断するための確証が欲しい」という声をたくさん聞いてきた。

しかし多くの場合、決断することに根拠や保証などはいらないのだ。

なぜなら、根拠を持たせるための「計画」というものは、どんなに緻密に計算したところで実際にその通りに計画が進むことは極めて稀だからだ(というよりもほとんどない)。

では何が重要かといえば、その計画の〝ズレ〟を瞬時に修正していく作業である。

経営やスポーツの世界で生きる人は、正解のない決断の連続を日々繰り返しているはずだ。結果が約束されていない日々の経営判断や、勝つか負けるかの世界で攻めるか守るかの意思決定一つとっても、最後の決断が送れれば命取りとなる。

しかし、決断さえすれば体はその意思に沿って動き、最悪ミスがあったとしても次のプレーやアクションで方向性を修正していけば良い。

一番最悪なのは、中途半端に決断し迷いを持った上で行動を起こすことだ。そんな状況で意思決定した経営判断や、大事な局面で放ったショットは9割以上の確率でアウトになる。

行動に移さない人というのは保証を欲しがるが、約束された価値を提供するなんてことは詐欺師でない限り難しい。しかし優秀なコーチや経営者というのはそのズレを修正する能力に長けている。それがなぜかといえば、いくつもの決断を実行してきた上で修正を重ねてきたという経験があるからだ。

不思議に思うかもしれないが、「決断力」というものは鍛えることができる。例えば、過去に同じような脳内負荷がかかる決断や、それ以上の重圧を背負った決断を一度でも経験していれば、それよりも負荷の少ない決断はいとも簡単に、そして冷静に決断を下すことができるようになっていくのだ。

決断し、まずは行動を起こさないことには、より優れた決断を行うための情報も原体験を通じて入手することができず、不確実を恐れその場に立ち止まっているだけでは人生は変容せず不安に覆われた人生を過ごしやすくなる。

しかし、決断を下し行動を起こしていくことで、あなたの人生の行動と不安の比率は徐々にシフトし、不安が追いつけないほどの行動力をあなたは身に付けていくのだ。

決断を下すことにプレッシャーを感じる人というのは、まずは一つ小さな決断からでも自分の人生に革命を起こしてみよう。

そうすることで、脳内にあるRASは間違いなくあなたを支援してくれるようになるはずだ。

この記事を書いた人

Yusuke Mori