―質問の質が人生の質となる
物事の捉え方を良質にし、豊かな人生を送るためには、あなたが頭の中に搭載している「脳」という最新鋭のコンピューターを使いこなすことが重要だ。
人並外れた才能を持った人を見ると、「あんなにも優れた才能を生まれつき与えられているなんて羨ましい」と思う人は多い。
しかし実際には、最新鋭のMacやWindowsよりも高速度で大容量な性能を持つ「脳」というスーパーコンピューターをすべての人が等しく持っているのだ。
ただし、その有効な活用手段を知らなければ、いかに脳が高性能な機能を持っていたとしても宝の持ち腐れになってしまう。
そんな脳の機能を最大発揮させるために必要となる鍵が、実は「質問」にある。
ここでいう「質問」というのは、自分自身に対しどのような疑問を投げかけるかという行為のことを指している。
人間というのは、少ない人でも1日に2万回、そして多い人では1日に13万回ほど自分自身に対して疑問を問いかけ自己対話を行なっているという。
人間の脳の記憶容量は巨大であり、その容量をコンピューターのハードディスクに例えるなら、12.5テラバイトに相当するそうで、これは漢字に換算すると6.25兆字分で、400字詰め原稿用紙で160億枚、新聞に換算すると200万年分の情報量にもなるそうだ。
当然、それだけの記憶容量の中には良い記憶もあれば悪い記憶もあるわけだが、その中でもあなたにポジティブな影響をもたらす情報を検索するにあたり、必要となってくるのが自分自身に対する質問というわけだ。
往々にして経験を十分に活かせないのは、才能や記憶力のせいではなく自分の能力を引き出すために必要となる有効な質問が行えていない場合が多い。
競技パフォーマンスや会社の業績、恋愛や年収、人間関係や性格に至るまで、全ては自分への質問次第で、その結果は大きく変わっていく。
あなたの脳は、あなたが心の中で発した疑問に対する最適解をいつも大容量のデータベースから検索してくる。
「何でこうなるんだ」「無駄なことだ」「努力なんて馬鹿馬鹿しい」「どうせ上手くいかない」とあなたが思えば思うほど、脳は律儀に答えを返してくれる存在だということを忘れてはいけない。
「どうしたら良いんだ、こんなもの!」といったように正解がないような質問に対しても、あなたの脳は「あいつのせいだ」「自分がバカなんだ」といったように、とりあえずの答えをあなたに対して放り返してくる。
だからこそ、あなた自身が扱う質問の質を変えていかなければいけない。「こんなにも努力したら一体どんな素晴らしい未来が待っているだろう」「あの人と一緒に頑張ればどんなに豊かな気持ちになれるだろう」「僕は彼女のどんな所が好きなんだろう」と、自分に問いかけてみるのだ。
私たち自身が今感じている人生の質は、自分が今までに繰り返してきた「質問」の結果によって生み出されている。
したがって、成功を掴み、人生の質を高めたければ、自分自身や人に何を尋ねるかを考え、適切な質問を発していくことが重要なのである。